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岡酒商店オリジナル商品 わせみつミード

糖度が78%を超えず「蜂蜜」になっていない蜜のことを早生蜜(わせみつ)と呼んでいます。
蜂蜜が腐らないことはご存知の方も多いと思います。それは糖度が高いためです。
腐らないために必要な糖度は78%以上。
蜂は蜜を巣に持ち帰った後、必死に羽ばたいて蜜の水分を飛ばし糖度を上げていきます。
採蜜のタイミングによっては、まだ水分が飛ばしきれずに78%に糖度が届かない蜜が存在します。
それが早生蜜です。
通常、早生蜜は糖度が高い蜂蜜と混ぜることで全体の糖度を上げて蜂蜜として販売されるため一般に出まわることはごく稀です。
早生蜜は放置しておくと腐りもしますし、自然発酵することもあります。
当然、成分も蜂蜜とは少し異なり、甘みはあっさりしていて口当たりは滑らかです。栄養素も種類が多いと言われています。
※早生蜜(わせみつ)は、現在商標申請中の造語です。

ミードは蜂蜜と水と酵母混ざり、アルコール発酵してできるお酒です。
世界最古のお酒ともいわれ、紀元前のエジプトでも飲まれていたといわれています。
アルコール発酵は、酵母が発酵可能な糖質と食べて、アルコールと炭酸ガスを排出する行為です。蜜には糖質があるので、適切な水分量の中、酵母が働く環境が整えば、アルコール発酵が起こることは自然です。
蜜とアルコールを混ぜたものではなく、蜜を原料に発酵してできるお酒です。
北米では「ハニーワイン」と呼ばれることもあります。
アルコール発酵をさせて造るため、アルコール発酵が進むと液体中の糖質が減少していくので甘みはどんどん減っていき、アルコール度数が高くなります。
「蜂蜜のお酒」と聞くと、甘いお酒のイメージを持たれるかもしれませんが、ミードは発酵期間により甘さとアルコール度数が大きく変わることから、種類としても「ドライミード」と呼ばれる甘くないものから、「セミスイート」「スイート」といった甘さの度合いで分類されることが多いです。

日本では昔からニホンミツバチが暮らしていますが、ミードはほとんど広まっておらず、近年海外からその醸造方法を取り入れてミードが造られ始めています。
日本ミード協会も発足し、蜂蜜とアルコールを混ぜたリキュールとの違いを明確にし、「ミード」というお酒を多くの方に知っていただく取り組みが始まっています。

ところで、なぜ今、岡酒商店はミードに注目したのでしょうか。それは蜂がもつ本来の自然会での役割のためです。

蜂が自然界で果たす大きな役割の一つが、ポリネーターです。ポリネーターとは「受粉媒介者」というとわかりやすいかもしれません。ミツバチは蜜を集めるためにいろいろな花を回ります。その行為が花の受粉になります。ミツバチ以外にも蝶やアブなどの昆虫もポリネーターの役割を果たしています。
ただその中でもミツバチは色々な要素から非常に重要なポリネーターで、養蜂では蜜を取るだけでなく、ハウスや果樹園でポリネーターとして蜂を放すことも大きなビジネスになっています。

いま、地球環境の大きな変化により蜜蜂の数が激減しており、これが食物の栽培にも大きな影響を与えていると言われています。そんな中、蜂が暮らしやすい環境を作って、蜂の数を増やそうという活動が世界的に注目を集めています。それは自然環境の改善という取り組みもありますし、都会のビル群の中で蜂が住める設備を作るといった取り組みもあります。

岡酒商店は2022年の夏に神戸市西区のマルシェで「さとのわ養蜂研究所」さんに出会いました。きっかけは一杯のレモネードです。それはとてもさっぱりとした甘さで美味しく、その蜜に興味を持ったところ「早生蜜」でした。そして、放置すると発酵してしまう早生蜜の使い道に苦労しているというお話を伺ったのです。

さとのわ養蜂研究所は、神戸市西区に拠点を構えて作物の自然栽培と養蜂を行っています。そして養蜂家を育てる活動も行ています。その養蜂は「自然養蜂」と言われたりしており、一般的な養蜂とアプローチが異なります。まず目的は「蜂を増やすこと」。ポリネーターとしての蜂を増やすことで自然栽培との相乗効果に期待します。採蜜が主目的ではないため、蜂の巣を維持管理するために必要な分しか蜜を取りません。年間で蜜を取るのは巣内の蜜が多くなりすぎる初夏の数カ月に限ります。このことから私は「共生養蜂」とも呼んでいます。八とともに暮らしてお互いが想像効果を得られる形が「共生」と呼べるのではないでしょうか。

そしてこの蜜は採蜜日ごとに混ぜることなく非加熱で消費者のもとへ届けられます。時期により咲いている華は異なりますので、混ぜないことで「その時の自然な蜜」をそのまま味わおうという考えです。
そのため、早生蜜も混ぜて蜂蜜にして販売するという考えはなく、早生蜜としてどうにか役立つ方法はないかということを考え、冷やしても固まりにくい性質を生かして冷やしたレモネードに直接かけたり、かき氷にかけるなどして使っていたと聞いています。それでも量を消費しきれず、理解ある菓子店やパン屋さんに格安で提供していたのですが、保存に蜂蜜よりも手間がかかるという問題がありました。

岡酒商店の店主が、このお話を伺い真っ先に思いついのがミードでした。岡酒商店は、無農薬栽培米を原料とした日本酒の専門店ですが、一部取引先の純米酒梅酒も扱っていたことから、栃木の天鷹酒造さんから教えていただいてミードを販売していました。
店主は、岡酒商店のパーパスである日本の里山の復活「bounce forward」とポリネーターが増える環境を作る考え方は原点は同じであることに気づき、「早生蜜をミードにしたら取り扱いも楽だし、多くの方に蜜蜂の現状を伝えられるのでは」と考えました。
そしてこれは、岡酒商店のもう一つ大事にしているもの「地域で頑張る酒蔵を応援する」ことにもつながることだったのです。

「さとのわ養蜂研究所」さんと岡酒商店がであったころ、ちょうど岡酒商店を運営する合同会社リタリンクは、神戸市に選定された5つの企業の一つとして神戸市のエングローブプロジェクトに参加しており、EDG’Sに繋がる商品やサービスの開発を検討していました。
このエングローブプロジェクトで、ポリネーターとしての蜜蜂の保護や、そのためのミードの醸造を日本酒蔵に委託することなどの考えを提案し、ビジネスエコロジーの検討を進めた結果、「兵庫わせみつミードプロジェクト」が発足しました。
※当時は「兵庫ななみつミードプロジェクト」と言っていましたが、その後「ななみつ」を「わせみつ」に変更しました。

そして、関係者を繋ぎ始めます。

まずは「さとのわ養蜂研究所」さんへの説明と早生蜜提供のお願いに始まり、醸造に協力いただける県下の酒蔵を探して山名酒造さんへ依頼。その山名酒造さんへのミード醸造技術の提供を天鷹酒造さんへお願いして、兵庫から栃木へ蔵元と蔵人をご案内して直接技術説明を行っていただいたのが2023年の6月でした。
天鷹酒造さんは、日本ミード協会の立ち上げメンバーでもあり、日本でミードを広めたいという思いから無償で山名酒造さんへの技術提供を承諾いただきました。このご協力なしではプロジェクトの推進は難しかったと思います。
そして山名酒造さんとさとのわ養蜂研究所さんを引き合わせて、商品化の下準備はすべて整いました。

2024年夏に採蜜した早生蜜を山名酒造さんへ持ち込み、9月についに醸造を行いました。
ミードの醸造は夏場に行います。多くの日本酒蔵が、季節労働者の蔵人から社員蔵人へと変わっていく中、酒造りを行っていない夏場には、稲作を行ったり、営業を手伝ったりとしていたわけですが、その季節にミードを醸造できることで、蔵人の新たな仕事が生まれ、それも日本酒とはぶつからない新しい醸造酒として蔵の来ナップの幅も広がるというメリットも酒蔵にはあります。これが「地域で頑張る酒蔵を応援する」ことにもつながることです。
今回山名酒造では、若手の社員蔵人が中心となってミードの醸造にチャレンジしてくださいました。
共生養蜂を行うさとのわ養蜂研究所さんの早生蜜への悩みの解決、夏場の社員に新たな仕事が生まれ、新商品にもなる酒蔵、そして共生養蜂が拡大することによる蜂や自然界への効果、この「三方良し」の状態が造れることから名前を「3(mittsu)」としました。
ラベルのデザインは、神戸市在住の画家・松栄さんが、さとのわ養蜂研究所の周囲の景色から膨らませてくれた共生の環境を表す絵となっています。

こうして、神戸の蜜、丹波の酒蔵、神戸の画家、神戸の酒蔵が造る「兵庫わせみつミード」が完成したのです。

まずは、3mittsuを多くの方に知っていただき、蜂たちの現状を知って、応援してもらうことで、兵庫県の蜂環境が少しずつでも変わってくれることを期待しています。
そして、このミードのエコロジースキームは、兵庫県以外の環境でも成り立つと考えています。
養蜂家と酒蔵は日本の多くの地域に存在するからです。
岡酒商店(合同会社リタリンク)は、この考えに賛同いただける養蜂家と酒蔵を繋いで、多くの地域でその地域ならではの「ミード」が造られていくことを応援していきます。

わせみつミード 3 mittsu 1回火入れ
720ml 4,000円
(税込4,400円)
※発売は2025年11月からです。
現在のネットショップは予約になります。

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