蛙の頭の上には銘柄ごとにそれぞれの印が書かれています。冷やおろしは「杖(つえ)」。これは熟成することのイメージが、時を魔法使いとして捉えてのことだそうです。

穏シリーズは、現杜氏が始めて今では「しぜんしゅ」と並ぶ仁井田本家のブランドになっているお酒です。創業から300年以上続く仁井田本家代々の当主の名前に入っている「穏」の字を銘柄にしたというのは現当主の決意が感じられますよね。 元々は”白麹酒母仕込み”という造りでした。出来るだけ添加物を使用しない方針の仁井田本家で行われている「生酛造りではないけど、醸造用乳酸を添加しない造り」です。いまでは「すべて生酛で造りたい」との思いから「酵母添加の生酛造り」となりました。「にいだしぜんしゅ」との違いは酵母添加と有機栽培米使用というところ、そして水源(水質)です。
シリーズでも一番の顔である通常版純米吟醸が「緑蛙(みどりがえる)」で、こちらの冷やおろしは「橙蛙(だいだいがえる)」と言われます。冷やおろしとは、冬から春にかけて醸した新酒を一度火入れした状態で貯蔵してひと夏越してから二回目の火入れをしないで出荷する(冷やのまま卸す)ことと言われています。
実際に呑んだ感想は、最初少し甘い香りが口内に広がります。おだやからしい酸が効いていて、しっかりした味わいがあると思ってもスッと流れていく感じでとても飲みやすいと感じました。とは言っても白ワインの様な酸味はありません。緑蛙よりはまろやかです。
スッキリさを感じさせるものの実はしっかりしているのか、合わせる料理は刺身なら熟成系のねっとりしたもの、鶏や豚の塩焼き、牛タンなどが思いつきました。皆さんもぜひ色々なお料理と合わせてみて下さい。






