こんにちは! 岡酒商店 店長の岡です。
今回は、山名酒造さんのご紹介で兵庫県丹波市の宮垣農産へお伺いして、有機栽培の五百万石の田植えを見せていただきました。この五百万石が来年の山名酒造の「自然酒 □土酒」になるんですよ!
場所は加古川の側で周囲を山に囲まれたエリアです。山と川以外は水田という雰囲気でとても日本らしい美しい景色だと思います。
見学させていただいた宮垣農産では、20年近く有機栽培で酒米を栽培されています。また酒米以外にも有機栽培のお米(コシヒカリ)もたくさん栽培されている規模の大きな農家です。酒米は途中数年だけ山田錦に浮気(?)したそうですが、それ以外は五百万石一筋。丹波での五百万石の田植えは他の地域と比較してかなり早い5月上旬らしいのですが、今回の田圃は少し遅くて5月28日でした。
田植えの前に少しお話を伺えたので「有機栽培で一番大変なことってなんですか」と質問しました。月並みな質問ですが、回答から人それぞれ、その方の思いが見えると思うのです。宮垣さんの答えは「そりゃ、やっぱり除草やな」。私もイベントで無農薬の水田の除草を1日だけしたことがあります。手作業だったのでとても時間がかかり、腰を曲げっ放しで大変な作業でした。でも、ここではこの広さ。どうするのだろうと思っていたら、出来るだけ機械でやる方法を考えてやると言われていました。ただ、そもそも雑草が生えない環境を作れば除草の必要はないと。逆転の発想ですね。今では水田の生物環境が豊かになりゲンゴロウやミミズなど色々な生き物が沢山いて、特に「貝エビ」が沢山いるようになったので、田植えの後、最初の頃だけで除草が終わる様になったとのこと。どういう事だろう、と思っていると「田んぼを見てみ。濁ってるやろ。」と言われました。確かに濁っている。「貝エビが動いて水が濁ると光が下まで届きにくくなって雑草の発芽が抑えられる」という事だそうです。なるほど。
宮垣農産では規模が大きいので出来る限り機械化していかないと全体を管理しきれないということで、色々と農機具にもご自身で改良を加えて工夫されているそうです。田植えはもちろん田植え機で。一般人向けのイベントではないので当然ですが、改めて田植え機での田植えを見学してとても驚きました。元気に芽が出た苗を田植え機にセットして植えていく(あたりまえ・・・)のですが、どうして田植え機は1本ずつ苗をきちんと取って植えることが出来るのでしょう。今回の田植え機だと、一度に6列。綺麗に植えられていきます。機械をじっくり見ても分からない。田植え機を作っている方、そしてその田植え機がきちんと取れる苗を育てる農家の方、どちらも凄いです!!
生で見ると本当に凄いです。改めてびっくりしました。
ところで、先ほど水田の生物環境が豊かだということを書きましたが、ミミズが増えることでとても困ったことが起こったそうです。「何やと思う」と聞かれてもさっぱり思いつきません。「モグラや!」ってモグラがミミズを食べに来るのかー。全く思いつかなかった。でもモグラが来たら何で大変なんだろう、という疑問が私の顔に出た様です。「穴あけるんや」と教えてくれました。穴???何と田んぼの畦に穴を開けるんだそうです。それで田んぼの水が抜けてしまうらしい。確かにそれは大変ですね。一大事です。今では、対策として田んぼの畦の一部にコンクリートの壁が作られていて、モグラは通れないそうです。田んぼにコンクリートってと少し思いましたが、穴を開けられてはどうしようもありませんからね。でも結構景色に馴染んでいました。コンクリートの横の畦にたくさんのシロツメクサが咲いていてとても綺麗です。この影響で、水路から水を引くところは木戸などではなく、コンクリートの壁の蓋を動かしていました。これはちょっと面白いですね。
田植え機での田植えは、これまた私の想像の少し上をいっていて、キレイに9割以上のところを機械で植えていかれました。残り、上がり土手の角のところだけ、手植えで完成!
キレイに植えられた苗を見ていると、これからの成長が楽しみです。