有機栽培の除草は工夫がいっぱい

こんにちは! 岡酒商店の店長 岡です。
前回、田植えを見せていただいた5月の最終週には、黄金色の小麦畑がところどころに見られたのですが、今回、除草を見せていただいた6月中旬だと全くありませんでした。前回「なんでこの季節に黄金色の田んぼがあるのだ??」と小麦と分からず大混乱の店長でしたが、今回は見慣れた景色で余裕しゃくしゃく。しかし5月に小麦を収穫するとは知らなかったです。なんでも黄金色の穂の収穫は「秋」だと思い込んではいけませんね。

前回、田植えを見せていただいた時に宮垣農産のお父さんから「除草も見に来んといかんぞ!」と言われて「ハイ!」と答えて来てみたものの、お父さんは見当たらず。。。キョロキョロしていると息子さんらしき姿が見えたので聞いてみようと思ってそーっと近づくとパっと振り返られて、ギクッ。でもやさしく「話聞いてますよー」と言っていただけたので一安心。 準備を待っている間に除草機らしき機械をジロジロと観察し、「写真いいですか」と聞くとわざわざ明るいところに移動させていただけました。ありがとうございます!
今日の主役、除草機はコレ! 明るい日差しを浴びてカッコ良くないですか!? 機械について説明を伺いました。

前回の田植えの後にお父さんに教えてもらったのですが、この機械、オークションで競り落として中古を青森まで取りに行くほど気に入っているもの。もう生産されていないので、同じ型が中古で出ると買い付けて、故障時のパーツ予備にするのだそうです。でもそれほどまでにこの機械がいいのはなぜ?と思いますよね。単刀直入に聞いてみました。「前についている除草の仕組みが良く見えて、作業がしやすいんだよね。」というお話。稲を巻き込まないようによく見ながら作業ができるのが重要なんですね。そう言われて前のパーツを良く見ると色々付いていて「うん?これはどうなってるんだ?」と唸ってしまった。このパーツ「ティラガモ」と言われているらしい。「カモ」は、合鴨農法のカモさん。これの代わりをやってくれる(一部ですが)ということ。「ティラ」は・・・聞かなかったけど、きっとティラノですよね。カモパーツが6つも付いていて、ガーといくという事で。なかなかなネーミング。「除草」と言っても草をとるだけではなく、合鴨の足が掻く様に土をかき混ぜて雑草が発芽しにくいようにするとか、泥の中に倒してしまって埋め込むとか、色々とあるらしい。
そもそもが、水田の水の深さを深くして、その水を濁らせると光が届かなくてかつ酸欠で発芽が抑制されるとのこと。それでも出て来たものを除草するわけですね。しかも今年はコシヒカリの圃場で「白神酵母」というスペシャルウェポンも投入していて、これがいいらしいです(注)。この酵母、水田の中でトロトロの泥の層を作ってくれて、その上、活動のために酸素を大量に消費するらしい。そのトロトロ泥層が大事で、かつ酸素を減らすので、雑草の種からすると二重苦状態。色々と微生物の力は凄いです。
(注)白神酵母は五百万石ではなく有機栽培のコシヒカリで使われていましたので修正しました。(2018/06/27)

色々と説明してもらったので、次に実際の除草作業を見せてもらいました。田んぼに入ると田植え機に似ている(写真をよく見ると似ていないのですが、現場で見た時にはそう感じたのです)。この機械では、稲の間に機械を降ろして、進んでいきます。この降ろす高さにコツがあるのだとか。その前に、稲の間にビシッと入れるだけで私からみると「スゴイ!!」って感じなんですけど。グイっとターンして、また稲の間に入れるとかどんだけ練習したら出来るんだろう。というか練習って出来るんだろうか、などとどうでもいいことを真剣に考えてしまいました。技が光ります。
田植えの後、10日から2週間程度の時期に草の生え方を見て最低2回はこの除草機を使った除草をされるというお話でした。草が多いときはプラス1回。一部残っているときは、手作りの除草棒でコロコロと除草(一日やると腕がパンパンになるやつらしいです)。最後はやっぱり手作業というお話でした。やはり中々に大変です。

今回、田植えの後20日ぶり位(2回目の除草のタイミング)にお伺いしたのですが、田植えの時と比べてとても生き物が増えていてびっくりしました。カエルはもちろん沢山いるし、オタマジャクシやヤゴもいるみたい(水が濁っているので恐らくですが)。この水の濁りも田植えの回に書いた通り「貝エビ」というのが沢山いて、動いて濁らせてくれているそうです。別に貝エビを連れてきて放したわけではないですよ。自然発生です。それから蜘蛛。アメンボかなと水の上を移動している虫を良く見ると蜘蛛なんです。捕まえたい虫がいると蜘蛛も頑張るんですね。色々な生物が見れてとても嬉しくなりました。

こうして栽培された五百万石が美味しいお酒になるわけですが、山名酒造では、「自然酒☐土酒」として「宮垣農産の五百万石」と生産者名が酒瓶の正面に書かれます。これってやっぱり嬉しいんだろうなーと思って聞いてみました。「もちろん嬉しいし、凄く励みになる」という回答でした。加えて「でもうちの米だけでタンク1本仕込むわけだからその分の米をきちんと収穫しないといけないというプレッシャーもあるんだよね」というお話も。確かにコメを混ぜないという事はそれだけの量を確保するのが前提ですからね。まだまだお米の生産者まで明記したお酒が少ない理由はその辺りにもあるのかもしれません。
顔の見える野菜ではないですが、お酒を醸す杜氏はもちろん、お米の生産者の顔までも見える山名酒造の自然酒シリーズ〇△☐ってやっぱり飲んでいて安心で、その上、美味しいと嬉しくなりますね。

関連記事

過去のコラム

PAGE TOP